解説 10 品質管理にはどのような試験が行われるか、そしてその頻度は?

 配合設計通りの流動化処理土が製造され、現場において間違いなくそれが打設されたことを確認するための試験が品質管理試験です。
 試験の実施はプラントからの出荷時の製品、現場に運搬され打設する際の製品が、間違いなく配合設計時の品質と同じであることを確認するために、適切な頻度で、可及的速やかに検証することが求められます。
 流動化処理土は調整泥水、又は調整泥水と建設発生土を混合した「泥状土」と「固化材(あるいは必要に応じた添加物)」を配合したものですが、混合した後の泥状の状態での、個々の混合割合が配合設計通りになっているかを、量的に判別することは実際上、不可能です。よって、一般に製造された「流動化処理土」の密度(比重)、流動性(フロー値)、材料分離抵抗性(ブリーディング)並びに固化後の強度(一軸圧縮強さ)によって確認することになります。(頻度は少なくても良いと思いますが密度測定の際、含水比を測っておくと、建設発生土の性質が極端に変わった場合等の異変を検証する際に役に立ちます)
 この四者が配合設計の際の数値と極端に相違しない限り、配合設計通りの製品が間違いなく打設されたと確認できると信じます。この中でも密度、流動性、強度に集中的に気を配るのが能率的な品質確認になると思います。


 品質管理試験の頻度は、現在では生コンクリートの実績に準じて、プラント出荷時、現場打設時の試料について品質管理試験が行われていますが、現場混合の場合は勿論のこと、流動化処理工法の場合は、出荷時と運搬時の製品は変わりようがなく、更に、コンクリートの場合よりは、強度等の厳密性の要求度が低いことからすれば、プラントから出荷する際の上記、品質管理試験を重点的に行い、打設時においては、密度、流動性の確認程度に留め、試験に時間と手間を要する一軸圧縮試験はプラント出荷時のみに限ると言った簡素化を計った方が能率的と思われます。 

 試験頻度については、「流動化処理土利用技術マニュアル(建設省(現:国土交通省)土木研究所)」によれば、次のような基準的な測定回数が推奨されています;

密度(単位体積重量)

1回/50m3

フロー値の測定

1回/50m3

ブリーディング率

1回/日

一軸圧縮強さ

1回(3本)/日

(前にもふれましたが、この他に処理土の含水比を測っておくと良いと思います)

 流動化処理土の利用される現場は、コンクリートの場合と比べると、比較の対象にはならないくらい多様です。処理土自体の性能からしても捨てコンクリートに近い高級なものから、並みの沖積地盤対応の均質な埋戻しでよい場合まで、非常に広い範囲に渉ります。従って、品質管理の厳密さも担当者の技術的判断に待つ面が多いと思います。例えば構成土質の変化を色調の変化で察知し、その際には集中的に管理試験の頻度を増すといった柔軟な配慮が求められるべきだと考えます。

 また、品質管理とは言えないかも知れませんが、流動化処理土を打設して、つぎの作業上、打設面にに作業員が載れるかを判定すべく、その固化の進行度を知りたくなります。簡易な判定法の一つとして土壌の硬度を測定できる、一種の簡易貫入抵抗測定器である、「山中式土壌硬度計」が活用された実施例があります。