解説6 粘り強い流動化処理土を造るには他に方法があるか?


 本来の強度はそれ程大きくなくても、変形に対しての粘り強い性能を持っていることは、上載荷重を何としても支持しなければならぬ土構造物としては、大変、望ましいことです。流動化処理土については前述のように、土一般で言えるように、まず、密度を高めることが求められました。

※図をクリックすると大きくなります。
図−4

 しかし、それを補う手段として、比較的、低密度の泥水に対して、例えば古新聞紙片を水に解いた繊維質材を混ぜますと、図−4 に示しましたように一軸圧縮試験の際、破壊領域に入ってからの残留強度の維持領域を保つことができるのが分かっています。

 図−1の、浄水場の汚泥を固めた超低密度の流動化処理土の例で、quに達した後に、かなりの残留強度の持続が見られたことは、原水中の固体分中に上流地域の植物繊維片が卓越していたためではないかと想像できます。 
 また、粗粒分に対して、細粒分が少な目な泥水で流動化処理土を造る際は、泥水中の水の分離(ブリーディング)が懸念されます。繊維質の混合は、ブリーディング率の減少に効果のあることも、既に確かめられております。

 流動化処理土地盤の支持力に対する貢献度は、平板載荷試験によって、密度増、繊維質混合、両者とも見られる傾向は確かめていますが、構造物設計における広範な検討に用いるためには、流動化処理土の動的性質の究明を含めて、今後、更に研究を続けて行きたいと思います。